【2015年12月28日】

冬の津軽旅。冬だからこそ「竜飛岬」、「ストーブ列車」、そして今日は「八甲田山雪中行軍遭難」の歴史を学びに資料館と陸軍墓地へ。

八甲田山雪中行軍遭難資料館~犠牲者が眠る陸軍墓地
 

青森駅前から幸畑行きのバスに乗り、八甲田山雪中行軍遭難資料館へ。


八甲田雪中行軍遭難事件は明治35年1月に陸軍の歩兵連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件。
訓練への参加者210名中199名が死亡するという日本の冬季軍事訓練における最も多くの死傷者が発生した事故であるとともに近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である。
(出典:ウィキペディア)

かつて、この悲劇を題材とした「八甲田山死の彷徨」(新田次郎著)の小説を読み、「八甲田山」(高倉健ほか主演の映画)を見て、表現できないような「息苦しさ」を感じた。
その史実を冬に来て学びたかった。
これがここにやってきた動機。(さすがに雪中行軍は無理)

史実が記されたプレート。
読み解いていくと、その悲劇に息苦しくなる。 

記念館の裏には陸軍墓地。
ここに来ていろいろなことを考え、思ったが、文字にするには難しい。 

雪の中に立つ墓標の一つ一つが、雪中行軍しているかのような…。

弘前の五重塔と寺町巡りへ

さて、午後からは奥羽本線で弘前へ。
目的は「弘南鉄道」に乗ることと、そこから派生する何か。 

弘南鉄道・大鰐(おおわに)線の「中央弘前駅」はJR弘前駅とは結構離れたところにあります。
乗る予定の列車の時間には余裕があるので、まずは駅の場所を確認してから周辺の探索に。

大鰐線の車窓解説に、駅を出ると右手に「五重塔」があるとの記述。
五重塔は、真言宗智山派の金剛山・最勝院というお寺の境内にあるらしい。
興味がわいて雪道をてくてく歩く。

まずはロウソクと線香を立てて、お参り。
南無大師返上金剛♪ 

これが本物の五重塔か!! 
国の重要文化財指定の五重塔の中では最北に位置するそうだ。
1667年完成で、高さは31.2m。
350年も前に、このような大きな木造建築物建てられ、今に引き継がれていることに驚きと感動。

五重塔をしばし眺めた後は、さらなる散策へ。


道端にあるお地蔵さんには一礼。 

弘前には大きな寺町が2つある。
33の寺院が連なる禅林街を登っていくと、一番奥には重要文化財にも指定される「長勝寺」。

この貫禄に、ただただ見上げるのみ。

長勝寺御影堂もお参り。
お寺巡りでは、歴史の浅い北海道ではなかなか感じることができないものを得ることができました。

弘南鉄道で「大鰐もやしラーメン」を食べに「大鰐温泉」へ

さて、だんだん陽も暮れてきた。
中央弘前駅に戻り、大鰐線へ。  

懐かしいたたずまいの待合室で電車待ち。

大鰐線は生活路線。学生、買い物客が乗り込みます。

 

風情ある電車で大鰐温泉へ。

終点に近づくと乗客もわずかに。

弘南鉄道「大鰐駅」到着。

JR大鰐温泉駅のとなりに弘南鉄道の「大鰐駅」があります。

夜のホームに銀色の電車。良い雰囲気かな。

大鰐にやってきた目的は、この「大鰐もやしラーメン」!!
「大鰐もやし」は、温泉熱と温泉水のみを用いる温泉の町ならではの独特の栽培方法により、 およそ350年以上前から栽培されてきた津軽伝統野菜の一つ。
いつも食べているもやしとは全然違います。良い出汁が出てて美味い!  

おいしいラーメンを食べて満足した後は、駅前にある「大鰐温泉」へ。
ゆっくり露天風呂につかって、地域の皆さんの世間話に聞き耳を…でも、方言なので全く理解できない^^;
でも、皆さん楽しそうでした。

さて、これで今回の旅のアクティビティーは全部終了。
22時18分の「急行はまなす」に間に合うように青森へ戻ります。  

今度は弘南鉄道の大鰐駅隣のJR奥羽本線「大鰐温泉」駅から青森へ。

急行はまなすの発車時間まではまだしばらくある。
あとちょっとだけ、青森の夜を楽しもうか。

地酒「じょっぱり」を呑みながら、ほろ酔い気分で今回の旅を振り返る。
今回も沢山歩いて、いろいろ感じた、そして、さらに津軽を旅したくなった。
好奇心を満たす旅、まだまだ続きそう。
津軽の日本酒もとても美味かった。
また来るよ。

旅の終わりは「北へ向かう最後の夜行列車」で   

そろそろ、ホームには「急行はまなす」が入線してくる時間。

青函トンネル専用の電気機関車ED79。前照灯に照らされる雪が、北へ向かう夜行列車の風情を盛り上げる。

「北へ帰る人の群れは誰も無口で♪」という歌詞とは違って、正月を北海道で過ごす家族連れが沢山乗り込んできました。 

廃止まであと3ヶ月弱。急行はまなすは、出発時間を前に忙しく撮影する旅人に囲まれていました。

津軽海峡を北へ向かう、最後のブルートレイン、急行はまなす。
最高の出発シーンを降りしきる雪が、静かに彩ります。

帰路は寝台車が取れなかったので、指定席で一晩過ごします。 

北の大地へ向けて走る、最後の夜行列車、急行はまなす。
この列車の廃止とともに、この何とも言えない風情が永遠に消えてしまうなんて。
残された時間はあとわずか。
いつまでも響いている鉄路の音を夢見心地で聞きながら、今回の旅の最後の夜を楽しみました。