【2015年8月31日】

山道を越えて秘境「ウエンナイ」へ

礼文島で2日目の朝。
まぶしい朝陽、とってもいい天気だ。
今日も1日歩くぞ~!


礼文島には「歩いてしか行くことができない」集落がいくつかある。
今日これから歩いていく「ウエンナイ」は国立公園の「特別保護地区」にあり、その貴重な自然環境を守るために自動車道がなく、約3キロの峠越えの山道を歩く。
車道がないからこそ守られている自然、大汗かきながらたっぷり堪能。


さぁ、山道歩きの始まり。
山道の頂上までは森の中に続く歩道をのんびり上っていく。
額からは汗! 汗!
でも、森の空気が気持ちいい! 


頂上を越えると景色は一変し、渓谷の中を進む。日陰もなく、暑い! 暑い!


沢の中を流れるきれいな水。
冷たくて最高に気持ちよい!


この谷間を抜けると集落の入口に。


道端にはかわいらしい花々が咲き、山道歩きの疲れを癒やしてくれる。  


ウエンナイに着きました。
ここは、”歩いてしか行けない民宿”だった「ウエンナイ荘」跡。
一度、泊まってみたかったな、秘境の宿。


ウエンナイの浜では昆布干しの真っ最中。おいしい香りが漂ってます。
ここで昆布漁と浜茶屋をしているおばちゃんに話を聞くと、今年ウエンナイに住んで漁をしているのは一軒だけとか。


青い空、青い海、そして番屋。
礼文島の西海岸は断崖絶壁の無人境が続き、その小さな入り江にウエンナイはあります。 


砂浜に干された昆布。穏やかな浅瀬では磯舟で昆布漁。
ずっとここにたたずんでいたい、そんな心地よい時間が流れている、歩いてしか行くことができない集落「ウエンナイ」。
15年ぶりに、大汗かきながら歩いて来て、ほんとよかった。


さて、かわいい花々に見送られ、山道を越えて俗世(笑)へ帰るぞ。


午前中いっぱい歩いて喉がカラカラ。
香深港で利尻島を眺めながらの一休みは一本だけビール^^

歩いてしか行けない灯台へ


帰りのフェリーは17:50。
残された時間はあと4時間。まだまだ行きたいところがある。
歩いてしか行くことができない元地灯台へ。
そして、あの岬の景色を見たい!


元地灯台への山道の入口がある知床までは、差閉、奮部といった漁師町を歩きます。
炎天下、カラフルな魚箱が強烈なコントラスト。


このテトラが顔に見えて笑ってしまう。「どこへ行くんだ?」と話しかけられたような・・・。


香深港から約4キロ、漁師町の風情をたっぷり感じながら歩いてきました「知床」へ。
ここが元地灯台への山道入口。
ここから約3キロずーっと登り、行くぞ!  


広がる笹草原、見上げる青空、てくてく山道を登っていきます。暑い!


途中、ちょっとだけオアシスな森の小道。


オアシスを抜けると、強風地帯で進められる森林づくりの現場。
植栽後16年を経て、樹高は3m弱。歩みは超スローでも、防風柵の高さを超えて、着実に育つアカエゾマツ。ここも森へ還る日が来る。


だいぶ登ってきたけど、まだ半分。
時間がない、休んでる暇はない。  


ついに来たぞ元地灯台!
この景色が見たくて大汗かいて登ってきたぞ。
疲れも吹っ飛ぶ絶景。


滅多に撮らない記念写真。
でも、今日は撮りたい。


15年経っても、この景色と青い海は変わらず。
疾走する漁船の白波が消えるまで眺めてました。

美しい景色の中に立つ「岬分校」へ


元地灯台にいつまでもたたずんでいたいけど、もう一カ所行きたいところがある。
利尻富士に向かって山道を下ります。


道端には白いニャンコがお昼寝。


こんな気持ちよい景色の中に立つ「岬分校」。
実は本当の学校ではなく、映画のロケのセット。
最果ての島を舞台にした吉永小百合主演の「北のカナリアたち」。
映画の内容は、北の島が舞台だと何故にこんな悲しい物語なのか・・・でも、この背景の中で描かれるシーンは印象深かった。
このセットが本当の学校に思え、あの物語の幸せな部分は実話に思えてくる。


だいぶ陽も陰ってきた。帰り道を急がなきゃ。
また、漁師町を歩いて香深港へ。
今日は山坂を20キロ以上歩いているはず。
でも、すごく疲れているはずの足がとても軽い♪  


フェリーの出航の時間が近づいてきた。
この2日間、ほんと歩いた。すごく疲れているけれど、この爽快感。
来てよかった・・・礼文島へ。


汽笛とともに、少しずつ遠くなっていく礼文島。
夕陽を背景に輝く海とシルエットの島影。
楽しかった2日間の締めくくりにふさわしい、心に残る光景。


だんだん小さくなっていく島影が、夕闇に消えていくまでずーっとデッキに立っていました。
また来るよ。そのときまでお世話になった皆さんお元気で。
そして礼文島の素晴らしい自然と景色、いつまでも。