八甲田山雪中行軍と大鰐もやし [ブルートレインの旅]
青森駅前から幸畑行きのバスに乗り、八甲田山雪中行軍遭難資料館へ。
八甲田雪中行軍遭難事件は明治35年1月に陸軍の歩兵連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件。
訓練への参加者210名中199名が死亡するという日本の冬季軍事訓練における最も多くの死傷者が発生した事故であるとともに近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である。
(出典:ウィキペディア)
かつて、この悲劇を題材とした「八甲田山死の彷徨」(新田次郎著)の小説を読み、「八甲田山」(高倉健ほか主演の映画)を見て、表現できないような「息苦しさ」を感じた。
その史実を冬に来て学びたかった。
これがここにやってきた動機。(さすがに雪中行軍は無理)
史実が記されたプレート。
読み解いていくと、その悲劇に息苦しくなる。
記念館の裏には陸軍墓地。
ここに来ていろいろなことを考え、思ったが、文字にするには難しい。
雪の中に立つ墓標の一つ一つが、雪中行軍しているかのような…。
弘前の五重塔と寺町巡りへ
さて、午後からは奥羽本線で弘前へ。
目的は「弘南鉄道」に乗ることと、そこから派生する何か。
弘南鉄道・大鰐(おおわに)線の「中央弘前駅」はJR弘前駅とは結構離れたところにあります。
乗る予定の列車の時間には余裕があるので、まずは駅の場所を確認してから周辺の探索に。
大鰐線の車窓解説に、駅を出ると右手に「五重塔」があるとの記述。
五重塔は、真言宗智山派の金剛山・最勝院というお寺の境内にあるらしい。
興味がわいて雪道をてくてく歩く。
まずはロウソクと線香を立てて、お参り。
南無大師返上金剛♪
これが本物の五重塔か!!
国の重要文化財指定の五重塔の中では最北に位置するそうだ。
1667年完成で、高さは31.2m。
350年も前に、このような大きな木造建築物建てられ、今に引き継がれていることに驚きと感動。
五重塔をしばし眺めた後は、さらなる散策へ。
道端にあるお地蔵さんには一礼。
弘前には大きな寺町が2つある。
33の寺院が連なる禅林街を登っていくと、一番奥には重要文化財にも指定される「長勝寺」。
この貫禄に、ただただ見上げるのみ。
長勝寺御影堂もお参り。
お寺巡りでは、歴史の浅い北海道ではなかなか感じることができないものを得ることができました。
弘南鉄道で「大鰐もやしラーメン」を食べに「大鰐温泉」へ
さて、だんだん陽も暮れてきた。
中央弘前駅に戻り、大鰐線へ。
懐かしいたたずまいの待合室で電車待ち。
大鰐線は生活路線。学生、買い物客が乗り込みます。
風情ある電車で大鰐温泉へ。
終点に近づくと乗客もわずかに。
弘南鉄道「大鰐駅」到着。
JR大鰐温泉駅のとなりに弘南鉄道の「大鰐駅」があります。
夜のホームに銀色の電車。良い雰囲気かな。
大鰐にやってきた目的は、この「大鰐もやしラーメン」!!
「大鰐もやし」は、温泉熱と温泉水のみを用いる温泉の町ならではの独特の栽培方法により、 およそ350年以上前から栽培されてきた津軽伝統野菜の一つ。
いつも食べているもやしとは全然違います。良い出汁が出てて美味い!
おいしいラーメンを食べて満足した後は、駅前にある「大鰐温泉」へ。
ゆっくり露天風呂につかって、地域の皆さんの世間話に聞き耳を…でも、方言なので全く理解できない^^;
でも、皆さん楽しそうでした。
さて、これで今回の旅のアクティビティーは全部終了。
22時18分の「急行はまなす」に間に合うように青森へ戻ります。
今度は弘南鉄道の大鰐駅隣のJR奥羽本線「大鰐温泉」駅から青森へ。
急行はまなすの発車時間まではまだしばらくある。
あとちょっとだけ、青森の夜を楽しもうか。
地酒「じょっぱり」を呑みながら、ほろ酔い気分で今回の旅を振り返る。
今回も沢山歩いて、いろいろ感じた、そして、さらに津軽を旅したくなった。
好奇心を満たす旅、まだまだ続きそう。
津軽の日本酒もとても美味かった。
また来るよ。
旅の終わりは「北へ向かう最後の夜行列車」で
そろそろ、ホームには「急行はまなす」が入線してくる時間。
青函トンネル専用の電気機関車ED79。前照灯に照らされる雪が、北へ向かう夜行列車の風情を盛り上げる。
「北へ帰る人の群れは誰も無口で♪」という歌詞とは違って、正月を北海道で過ごす家族連れが沢山乗り込んできました。
廃止まであと3ヶ月弱。急行はまなすは、出発時間を前に忙しく撮影する旅人に囲まれていました。
津軽海峡を北へ向かう、最後のブルートレイン、急行はまなす。
最高の出発シーンを降りしきる雪が、静かに彩ります。
帰路は寝台車が取れなかったので、指定席で一晩過ごします。
北の大地へ向けて走る、最後の夜行列車、急行はまなす。
この列車の廃止とともに、この何とも言えない風情が永遠に消えてしまうなんて。
残された時間はあとわずか。
いつまでも響いている鉄路の音を夢見心地で聞きながら、今回の旅の最後の夜を楽しみました。
ストーブ列車で太宰治の世界へ [ブルートレインの旅]
機関車に牽かれた旧型客車の暖房は「だるまストーブ」。
石炭ストーブをみんなで囲んだ子どもの頃の思い出、懐かしい暖かさを乗せた列車で地吹雪の雪原を旅します。
切符は「硬券」、そして改札は「ハサミ」、初めて来たのに懐かしい津軽鉄道です。
駅の発車時刻表は、なんとレトロな縦書き。
9時20発の準急、ストーブ列車で出発です。
「心に響く風景と出会い♪」
車内はスルメを焼いた、いいニオイでいっぱいです。
まだ、午前10時前ですが…罪悪感(笑)を感じさせない津軽鉄道です。
でも外はひどい地吹雪~!!
この町を散策する予定でしたが、地吹雪の酷さに断念。
折り返しの列車で、津軽五所川原へ。
そして、もう1往復です!!
太宰治のふるさとへ
でも、今も読み継がれる著作の数々には太宰の「心の闇」が描かれている。
扉を開けてそのルーツに触れてみる。
太宰も歩いた小学校への道を吹雪の中進んでみる。
太宰小説にも出てくる芦野公園駅の旧駅舎は喫茶店として活用され、大切に保存されている。
吹雪で冷えた体に、温かいコーヒーがしみます。
ホームに出て津軽中里へ向かう列車を待ちます。
もう一度、津軽中里駅へ向かいます。
スルメを焼き終わったストーブの上では、お客さんが持ち込んだお餅を焼いています。
私もお餅を1つ分けていただきました。
ストーブを囲む車内は、見ず知らずの旅人同志も友達になれる空間です。
太宰の生まれ育った町の空気を感じ、もう一度読み返せば、さらに理解が深まるかもと思いをはせるひとときでした。
青森方面へ戻る五能線の列車が強風のため運休^^;
晩ご飯でも食べながら開通を待とうかと思ったら、「バス代行が決まりました!」のアナウンス。
隣の席に座った、同じニオイ(謎)がするお客さんも「鉄」で、道中盛り上がりました。
青森行きの乗り継ぎ列車を待ちます。
そんな皆さんを横目に私はお気楽な旅人。
さて、今夜の宿泊地青森へ戻ります。
温泉に入ってさっぱりしたら、夜の街へ晩酌に。
郷土料理をつまみながら、こういうの一度やってみたかったんだよね!、地酒の飲み比べ!!
じょっぱり、亀吉、陸奥八仙、豊盃、田酒。
どれも美味いが、「亀吉」が一番好みで、もう一杯!!
吹雪の竜飛岬へ~津軽海峡冬景色♪ [ブルートレインの旅]
新幹線への乗り換えに忙しく走る抜ける帰省客を眺めていると、私だけ時間が止まっているような錯覚。
目指すは「津軽海峡冬景色♪」、寒風吹きすさぶ北の外れ「竜飛岬」(※)。
JR津軽線に乗り換え、本州の最果ての駅へ。
駅のすぐそばにある天然温泉で、朝6時から入れるのが魅力です。
さっぱりした後は、バイキングの朝食でおなかも満足。
夜行明けの再起動!に最適です。
いつも必ず立ち寄る、青函連絡船の可動橋。貨物列車が船尾ハッチから出入りしていた往年の頃を思い出す。
フリーエリアが広く、とてもお得です。
津軽線は青森~蟹田は電化、蟹田~三厩間は非電化区間です。
なので、蟹田駅で乗り換えです。
ここはJR北海道とJR東日本の”実質的”な分岐駅。
北海道へ渡るか、竜飛岬に向かうかの分かれ道です。
蟹田~三厩は非電化区間なので、ローカル風情漂う気動車に乗り換えです。
北海道のキハ40は極寒地仕様の100番台だが、東北地方はワンランク下の寒地仕様の500番台。
北海道仕様と比べて窓が大きく、ガラスも一枚。
装備が軽く、軽快な走りです。
この季節、荒天で列車が遅れても安心です。
白ナンバーの有償運行という、ちょっと特殊形態です。
観光地であるが、この季節はバス停から先は深い雪の中。
今日、ここまで来たのは私だけかなと思ったが、コート姿で着いてきた強者が一名あり。
他の乗客は、ちょっと下にある龍飛崎温泉へ行ったようだ。
装備的にはここで2時間バスを待ってもいいのだが、あまり長くいると崖下に吸い込まれそうなので(笑)、竜飛の集落へ歩くことにした。
吹雪の中をかなり歩いてきたので一息つかせてもらいました。
荒天の歩き旅では、とてもホッとする瞬間。
大雪の中やってきた列車を誘導する駅員さん。
今夜の宿泊地は津軽五所川原なので、ここから奥羽本線に乗り換えます。
ブルーのラインが入ったキハ40が新鮮です。
明日はこの駅から「津軽鉄道」に乗って津軽平野を北へ向かいます。
行くぜ津軽へ。急行はまなす [ブルートレインの旅]
しかし、新幹線の延伸とともに1つ、また1つ廃止され、そして今や国内唯一のブルートレインとなった
「急行はまなす」も北海道新幹線の開通とともに廃止されることに。
もう2度と乗れない、夜行列車の風情も永遠に失われてしまうのかと思うと、今、動かねば。
ゆっくりと入線してくる10両編成の青い列車。
さあ行くよ、津軽へ!
入線すると沢山の旅人が集まって来て、慌ただしく思い思いの荷物を抱えて乗り込んでいきます。
ヘッドマークがうまく撮れません。
発車の汽笛とともに、ゆっくりと、そして静かに加速していく列車。
心地よい揺れと、小気味良く刻まれる線路の音。
これが列車の旅。
まずは、サッポロ・クラシックで旅の始まりに乾杯。
思いにふけっているふりをしながら微睡む夜汽車の旅。
日付が変わるころ寝床に入り心地よい走行音を聞きいていると、いつの間にか夢の世界へ。