遠いところへ行きたい夏休み⑦～この駅に降りたい

兜沼公園キャンプ場（豊富町）

【２０１５年９月４日】

旅の残りも少なくなってきた。
先日の列車の旅では、列車本数の少なさから、降りるのを断念した駅がいくつかあった。
報道ではJR北海道は今年度末までに数十の駅を廃止する方針らしい。
次に来たときには集落どころか、駅舎もないかもしれない。
心残りがないように今日も切符を買おう！

幌延駅>上幌延>南幌延>安牛>雄信内>糠南>問寒別>歌内>天塩中川>佐久駅

今日は降りたい駅の列車ダイヤの関係で、キャンプ場の兜沼駅ではなく、「幌延駅」からスタート。

幌延駅は特急が停まる有人駅。
咲来駅までの切符を購入。

雄信内駅で交換する下り特急列車が昨夜の大雨の影響による徐行運転で大幅に遅れ、約１時間停車。
この遅れで咲来駅へ行くと、他に予定している駅に降りられなくなる。
時刻表をめくり、途中の佐久駅に降りることにする。

佐久駅に一人降り立つ。ここはこの辺では大きめの集落。
次の列車は１時間半後。それまで散策へ。

駅前にはレンガ造りの倉庫がいい感じ。  

集落の外れまで来た。

廃屋の窓からは、かつてどのような光景が見えていたのだろうか。 

壊れたサイロの周りに咲く花は、ここに人の暮らしがあった証。

毎晩、赤ら顔の父ちゃんたちが集ってたんだろうな。  

廃屋の開け放たれた窓の向こうには・・・。

黒ずんだ木造家屋に、一際なコントラスト。  

駅前に戻ってきた。
人通りは見えないが倉庫の前には手入れされた花壇がありホッとする。

佐久駅>天塩中川>歌内>問寒別>糠南>雄信内>安牛駅

迎えの列車がやってきた１４：２０。

次は６駅戻り、安牛駅へ向かう。  

牧草地の中を進む列車の中はで、自転車旅行の大学生サークルのご一行がお昼寝中。

陽が傾き始めた１５時過ぎに安牛駅に降り立つ。
毎度のことながら、私一人を残して、列車は行ってしまった。

この駅に停まる列車は１日３往復６本。
ここも下調べなしに降り立つのは危険（笑）
１６：０２まで、この集落を歩きます。 

車掌車を改造した駅舎は、年月を経て芸術的とも思える外観に。

駅舎から駅前通りを眺める。

雨上がりの駅前通を振り返る。
かつてこの通りにも家が建ち並び、それぞれの暮らしがあった。
その断片を探しに。

駅はこっちだよ。  

ここに集落があったことを示す唯一の建物、安牛小学校の跡地。
このほかは人々の記憶とともに夏草の下に埋もれてしまったようだ。

探索を終えて、お迎えの列車が来るまでは「駅ノート」の時間。

安牛駅>雄信内>糠南>問寒別>歌内駅

夕暮れのホームでたたずんでいると、遠くから聞こえてくる小気味良いカタンコトン。

単行の気動車の乗客は数人。
無人境を走り、４駅隣の歌内駅へ。  

１６：２４歌内駅に降り立つ。
また、私一人を残して行ってしまった。

次の列車は４５分後。
早足で集落を探索に。
かろうじて駅前に暮らしがあることにホッとする。

農業機械の部品だろうか？
天空の城ラピュタを守っているロボット兵のように。  

夏草に埋もれたグラウンド。バックネットの支柱が墓標のように見える夕暮れ。

旧歌内小中学校。
昭和４８年閉校とのこと。

だいぶ暗くなってきた。そろそろ駅へ引き返そう。

青い家。なんかシュール。  

歌内駅>問寒別>糠南>雄信内>安牛>南幌延>上幌延>幌延駅>下沼駅

夕暮れのホームにたたずむのが癖になりそう。
遠くから聞こえるレールの継ぎ目から響くカタンコトン、少しずつ近づいてくる感じがいい。
１７：１１の列車に乗り、今日最後の目的地「下沼駅」へ。

乗客は私のほかには、同じようなリュックを持ったた旅人（同志？）１人だけ。

無人境の牧草地を進む車窓。明るいうちに着けるかな？

１７：５１下沼駅に降り立つ。
夕闇迫るホームに、また１人取り残される（笑）

いい時間に降り立ったかも。こういうシチュエーションもいいかな。

鉄道林の向こうには夕焼け空が。
駅前通（笑）に繰り出そう！

牧草地の大きな空は、いい夕暮れ。

振り向くと駅舎がポツンと。 

次の列車は１８：０７なので、１５分ほどの滞在。

誰が描いたのかな、駅舎に気持ちよい風景画。

いろいろなものが飾られていて、この駅を利用する人たちが楽しんでいるのかな。

駅ノートを書くための机まで用意されていました。

駅舎の横には秋桜が咲き誇って。夕暮れの中、不思議な色彩の空間に。

下沼駅>幌延駅

駅巡りの旅を締めくくる列車がやってきた。
今日もいろいろな駅に降りた。
無人境となった集落、そこに暮らしがあった証の駅舎に立ち、当時を想い、感じ、考えることができるいい時間を過ごすことができたな。
１８：０７下沼駅を発つ。

今日の終着駅は幌延駅。小さな駅だがその明るさが眩く感じる。
次に来るときは、今回降り立った駅のいくつかはもうないかもしれない。
でも、そこに集落があり、人々の暮らしがあったことの軌跡、私は忘れないと思う。