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奥の細道を訪ねて~北陸車中泊の旅(4日目) [軽バンライフ]

~芭蕉も歩いた道~旧出羽街道21キロをひたすら歩く1日!

【2023年5月1日】

道の駅朝日~小俣宿→21キロ歩く→葡萄~JR村上駅~JR勝木駅~道の駅あつみ

今日の天気は1日中晴れ\(^O^)/
丸1日歩くのだから雨にはあたりたくない。
今日はこの旅のメインテーマである芭蕉の歩いた道でもある「旧出羽街道」を自分の足で歩いて、その心に近づくこと。
 
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もちろん現在ではその線形は道路整備などにより大きく様変わりしていますが、今回のコースには宿場町の名残や一里塚など、かつての街道の風情が色濃く残っていて、また、最後の3キロ、朝日・山北両地区を結んだ「大沢峠」は、当時のままの山道として石畳の古道がつづいているとのこと。
21キロの山道歩きということで不安と期待が交錯しますが、張り切って出発しました。


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今日1日、このマップを頼りに歩きます。

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今朝は1日3本しかない路線バスに乗らなければならないので大急ぎで朝ご飯です。


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今日1日のルートはこんな感じになり、歩き出すスタート地点は地図右上の出羽街道「小俣宿」です。
そこまではまず、現在いる道の駅朝日(新潟県村上市猿沢)から車でJR勝木駅へ向かい、裏の駐車場にエブリイを停めて、小俣宿へ向かう路線バスに乗ります。
そしてそこから歩き出し、今回のゴール地点である村上市蒲萄の集落へ出てくることができたら、そこから最終バスでJR村上駅まで行き、羽越本線を北上し、エブリイを停めた勝木駅まで戻る行程です。
なんとしても葡萄の集落まで、最終バスの時間までに!
これが本日のタイムリミット(゜▽゜*)

  
道の駅朝日~勝木駅~路線バス~小俣宿
 
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まずはエブリイで北上し羽越本線の勝木駅へ。

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勝木駅には7:30に到着。

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ここから新潟交通観光バスの勝木~雷(いかずち)線の始発バスに乗って出羽街道「小俣宿」へ向かいます。

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由緒正しい駅前旅館の前にあるバス停です。
なんか金田一耕助の映画のワンシーンのようだな(笑)なんて考えながらバスを待ちます。

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7:57の始発バスが来ました。乗客は私だけ(゜▽゜*)

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雷(いかずち)行き。
途中の府屋では時間調整で15分ほど停車。
休憩中の運転手さんからこの地域のお話をいろいろ伺いました。

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北海道から来ると、とてもバス通りとは思えない細い道をのんびりと進みます。

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道が細くて対向できないから待避所まであるし。

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トンネルも狭い(゜▽゜*) 

小俣宿~小俣峠~中継

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小俣宿にある「日本国麓郵便局」前バス停にひとり降り立つ。
長丁場だけに、いよいよ始まるんだと思うと期待と不安が交錯。
でも、ちょっと興奮する瞬間です。

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さて、参りますか!
約21キロ、今日のゴール地点の最終バス17:17までに歩き切ります!!

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まずは、小俣宿の集落の中を進んで行きます。

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瓦屋根のお屋敷(北海道民から見るとこれだけで異国の風情)が続きます。

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小俣宿の集落を抜けると山道~宿場町~山道の繰り返し。
衛星写真で見るとこんな人気のないところばかり歩きます。
ちゃんと道があるんだろうな?とちょっと不安。

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走る車も歩く人もいない「小俣峠」を登って行きます。
道路沿いはきちんと手入れがされているスギの造林地が続きます。
北海道では普段スギ林を見ることがないから、この木々が生えているだけで、山々の景色は道内のものとは全くの別物に見え、ほんと遠くに来たもんだと思います。

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北海道とは林床の植生も異なるので、興味深く観察しながら小俣峠の頂上まで上がってきました。
中継の集落まではあと3キロ。

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一つ目の峠の頂上に来ました。この先には何があるのだろう・・・。

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交通の難所だったであろう場所には必ず祠があります。
ここに観音様がいらっしゃるのは必ず何らかの意味と信仰がある。
もちろん、しっかりと一礼して進みます。

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この先に続く道が見下ろせる場所がありました。
沢の中をくねくねと進んでいくようです。
先が見えるとちょっとホッとします。

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聞こえるのは風に草木がなびく音、川のせせらぎ、鳥たちのさえずり、そして私の熊鈴の音。
誰とも会わない山道を進みます。

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峠を下りると中継の集落を護る神社がありました。
綺麗に手入れがなされ、この集落の皆さんの大切な場所なのがわかります。

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境内からは守護する集落が見渡せます。 

中継~カリヤス峠~荒川

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心細く不安な気分になりながら山道を抜け、見えてきた集落に、ほんとホッとします。

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集落の入口、出口では必ずお地蔵さんが見守ってくれています。
気持ちばかりのお賽銭を納めて一礼です。

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中継の集落を抜けていきます。

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桜が綺麗に咲いているお屋敷がありました。
由緒正しい春の光景に心が癒やされます。

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集落を抜けるとまた山道へ入ります。

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また無人峡に入るのかと思うと心拍数が上がります。
「カリヤス峠」の入口でお地蔵さんに安全祈願です。
祠もお地蔵さんもホント綺麗に手入れがされています。
きっと毎朝、近所の皆さんが掃除をし、手を合わせて大切にしているんだろうな。

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ほんと、どこまでも、だれも歩いていない、車も走っていない道を進みます。

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途中には祠がありました。
なんと書いてあるかは読めないけれど、ここにあるのは必ず何かその由来があるはず。
もちろん安全祈願して進みます。

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立派なスギの造林地を進みます。
道路はほとんど車が走ることも無いようで、路面はすっかり落枝落葉に覆われています。
このままどんどん心細い道になっていくのでしょうか(;゜ロ゜)

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空が開けてきたから峠の頂上が近いはず。
苔むしているとはいえ、人工構造物があると、ここはまだ人が居て良い場所(笑)と思えます。

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カリヤス峠を2キロ登ってきた頂上。荒川の集落まではあと2.5キロ頑張ろう。

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ゴールデンウイーク真っ盛りですが、「出羽街道を歩いてみよう!」っていう私みたいなことをしている人はいないのだろうか。
ほんと誰にも会わない( ̄。 ̄;)

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カリヤス峠を抜けました!

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荒川の集落はこっちですね。

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荒川の集落の入口には先祖代々のお墓がありました。
決して失礼のないようにしっかりと手を合わせてから進みます。
 
荒川~雨坂峠~北黒川

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小川のせせらぎを聴きながら歩いて行くとお屋敷が見えてきました。

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倉があるお屋敷、背後に立派な杉林。北海道から来ると驚きの連続です。

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荒川の集落ともお別れ。また、心細く峠に入ります。

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天坂峠は約2キロ。センターラインがある舗装道路でした。

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旧道が見えたので新道を外れて歩いてみました。 

北黒川~北中~大毎~大沢

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北黒川の集落、民家の桜の下に「盃を持ったその手でハンドル持つな」。

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芭蕉が泊まったことがある北中の集落に入ってきた。
その祈念碑があるはずですが見落としたようです。
今回のコース上では一番大きい集落で、「どこから来たの?出羽街道歩いてるんかい?」っておばあさんに声をかけられ、「北海道から」って答えたら、「よくまあ来ましたね~」と驚かれました。


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集落の出口の神社に一礼。

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もう一つあったのでこちらも上がって行って一礼。

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芭蕉が奥の細道を巡遊してちょうど300年を記念して作られた北中芭蕉公園へ。

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かなり歩いてきたけど、あとまだ山道を10キロ・・・。

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ちょうどお昼なのでコンビニで買ったおにぎりを頬張ります。

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「さはらねば汲まれぬ月の清水かな」
この句の心を想いながら先へ進みます。

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残り約10キロ。タイムリミットまで5時間を切りました。

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大毎の集落にも立派なお屋敷が続いていました。

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大毎の集落の出口のお地蔵さんに一礼。
旅人を要所要所で見守ってくれていることに感謝の気持ちが深まる思いです。

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そしてまた森を通り抜けて、次の大沢の集落へ。 

大沢~大沢峠~葡萄峠~葡萄

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そして、大沢の集落の最後のお地蔵さんに安全祈願。
ここからは深い森に入るので、ほんとしっかりと手を合わせました。

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この集落から先の大沢峠は、当時のままの山道として石畳の古道が続いている芭蕉も歩いた道。

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これまでの車道歩きとは違い、ほんと不安になってきます。
この道は通り抜けられるのだろうか、熊は出てこないだろうか・・・。
気休めに、わざと熊鈴を大きく鳴らしながら進みます。

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山賊が出てきそうな雰囲気の山道です。
土に埋もれて分かりにくいですが、足下には出羽街道が交通の要所だった時代に敷かれた石畳が続いています。

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頭の中を芭蕉さんではなく、どこかで聴いたこんな歌がヘビロテします(^^ゞ


人生楽ありゃ苦もあるさ
涙の後には虹も出る
歩いて行くんだしっかりと
自分の道をふみしめて♪ 
人生勇気が必要だ
くじけりゃ誰かが先に行く
あとから来たのに追い越され
泣くのがいやならさあ歩け♪

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掘り割りが見えてきた、頂上だ!!

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大沢峠を無事に抜け、本日最後の難所「葡萄峠」に入る入口には「漆山神社(矢葺明神)」の祠がありました。
康平年中、源頼義、義家父子が北狄征討の役を終えて凱旋帰路の折、当社に詣で、余剰の矢をもって社殿の屋根を葺いたので、矢葺明神と呼ばれているそうです。
残りは4キロ強。タイムリミットまでは3時間ありますが、しっかりお参りしてから進みました。

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このまま誰とも会わずに出羽街道の古道歩きは終わるのだろうか・・・。

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砂利道から舗装に変わると集落が近いのを感じてホッとします。

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葡萄峠の頂上まで来た~\(^O^)/
残り2キロ、タイムリミットまではあと2時間少々あるから大丈夫、頑張る。

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葡萄の集落が見えてきた。
なんかホッとして涙が出そう。
芭蕉が歩いた時代は、苦労して峠を越え、宿場町が見えたときの安堵感はどれほどのものだったかと思いを馳せます。

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いい道になってきた。ゴールはもうすぐ。 

葡萄~村上駅~勝木駅~道の駅あつみ

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本日のゴール「葡萄入口バス停」に着きました\(^O^)/
朝9時に小俣宿の集落をスタートし、16時半まで歩き続けた7時間半の道程。
ほんとよく歩いたわ。

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最終バスは17:17。
さすがにへたり込んで(笑)バスが来るまで50分ほど休憩です。
 
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1時間弱バスにゆられてJR村上駅到着。

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ここから羽越本線を北上し、今朝エブリイを停めた勝木駅へ戻ります。

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お腹はぺこぺこ。列車までは50分ほどあったので唯一営業していた中華食堂でラーメンをガツガツと食べました。

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村上駅から勝木駅までは約50分の旅です。

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GV-E400系気動車キタ――(゚∀゚)――!!
昭和50年代から平成を駆け抜けたキハ40系気動車の後継として令和に導入された新型車。
ディーゼルエンジンで発電して、モーターで走る電気式気動車です。
初乗車にちょっと興奮(笑)
 
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まだ運転があるからビールは飲めないけど、それでも歩き疲れで眠り込みそう。
乗り越し注意です(笑)。

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19:41下車。今朝の勝木駅に戻ってきました。
留守番していたエブリイと12時間ぶりに無事再会(笑)
大汗かいた1日、まずは温泉に入りたい。
駅近くにある勝木ゆり花温泉で露天風呂に沈み込みました~。

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さすがに夕食を作る元気は残っていないので、セブンイレブンで買ったホルモンと餃子、そして先日の強烈なネギキムチですませます。
エチゴビール・スタウトの深い味を身体にしみこませながら、今日一日を振り返り。
 
現代の道を歩いていても集落を抜け、不安な気持ちで山道へ、そしてまた次の集落へたどりついてホッとすることの繰り返し。
奥深い森の中をひたすら歩くしかなかった芭蕉の生きた時代、その不安感はいかほどだったろうか、そして峠から次の宿場町が見えてきたときの安堵感も。
そんな中で心を動かした出来事を詠み、奥の細道に記していったのかと思うと、300年以上前の旅の記録への興味がますます深まりました。
 
今日一日、いろいろな光景に五感で触れながら歩いてみて、芭蕉は苦労してたどり着いた行く先々で景色を眺め、集落で人々の心に触れ、どのような思いを巡らせ、句を詠んだのだろうかと、疲労感で遠のき気味の意識の中で奥の細道で読んだ一句一句を思い浮かべながら、いろいろ考えていました。
もちろん私の少ない語彙では、ここに言葉にすることはできませんが、イマジネーションが相当揺さぶられるのを感じました。
きっとこれらは、私のこれからの人生の旅路にいろいろな影響を与えるものとなる気がしています。
 
車で走り抜けただけでは感じられないこの空気、歩いたからこそ感じられたこの空気。
次の旅への新たな始まりを感じた貴重な1日となりました。
いや~ひどく疲れたけど、満足感でいっぱいで眠りに就きました。
つづく


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